2017年11月28日

東レハイブリッドコードによる品質データを改ざん -問題は隠蔽体質か過剰な安全品質規格か


概要

大手製造業である神戸製鋼や三菱マテリアル子会社のデータ改ざん問題が明るみになる中、東レ子会社の東レハイブリッドコードがこの機に乗じて仕方がなく自社のデータ改ざんについて公表するに至りました。

分野データ改ざん
不正業者東レハイブリッドコード
不正期間2008年4月〜2016年7月
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用語解説

東レとうれ

東レ株式会社(とうレ、英称:Toray Industries, Inc.)は、東京都中央区日本橋室町に本社、大阪府大阪市北区中之島に大阪本社を置く、合成繊維・合成樹脂をはじめとする化学製品や情報関連素材を取り扱う大手化学企業[1]

TORAY

東レハイブリッドコードとうれはいぶりっどこーど

特殊要素技術・機能繊維を複合、混成し自動車、インテリア、製紙用途などに幅広く先端コード材料を提供。

東レハイブリッドコード株式会社

不正の内容

東レハイブリッドコードが公表した不正の内容は以下の通りです。

不正製品タイヤコード、自動車用ホース・ベルト用コード、抄紙用コード
不正件数顧客との取り決めた規格から外れたデータの規格内への書き換えが149件
不正期間2008年4月~2016年7月
対象顧客数13社

※:不正発生率は0.4%で、不正内容も規格内製品と実質的な差は無く、性能上及び製品安全上の問題は指摘されていません。

不正の動機

  • 安全品質上問題無い

    規格値からの外れが僅差であったため、品質上問題無いと勝手な解釈

  • 特別採用

    顧客の了承を得ていれば不適合製品であっても納入する「特別採用」の拡大解釈(顧客の了承を得ない)が慣習化していたため[2][3]

Point特別採用は品質マネジメント規格ISO9001にも規定があり、顧客要求品質を満たさなくとも、最終製品の品質に影響が無ければ、顧客に許可を得て出荷することが出来ます。しかし、あくまで特別採用は「応急措置」であり、早急に正規基準に戻す必要があります。

関与は品質保証室長の2人のみ

事情聴取の結果、不正は「組織的」に行われていたものではなく、データ改ざんに関わったのは当時の品質保証室長と、その前任の品質保証室長の2人のみであると断言しました[4]

不正発覚から公表

2016年7月匿名の指摘

社内アンケート時に匿名の指摘

東レハイブリッドコードは2016年6月に日本貿易振興機構(ジェトロ)から補助金を不正受給していたことから、翌7月に他コンプライアンス違反が無いか社内アンケートを実施したところ、匿名の指摘があり不正が発覚しました。
しかし、この問題は10月には日覚昭広社長(東レ)に報告されましたが、納入先への報告・説明は行われず、担当役員や部署、監査役に情報をとどめました[5]

2017年11月3日不正告発

ネット掲示板に不正告発の書き込み

2017年11月3日にネット掲示板5ちゃんねるに「【不正】東レも神戸製鋼に続き、検査データ改ざん」というスレッドが立ち、東レハイブリッドコードによるデータ改ざんが露見しました[6]

2017年11月27日報告

榊原定征経団連会長に報告

東レは自社の相談役でもあり経団連の会長も務める榊原定征氏に不正を報告しました。榊原氏は定例記者会見で三菱マテリアルの子会社によるデータ改ざんについて懸念を表明したばかりでした。

2017年11月28日会見

東レの日覚昭広社長が会見でデータ改ざんについて公表

11月3日のネット掲示板から問題が露見したことにより株主を含め複数から問い合わせがあったため、悪評が広がる前に公表を決定し、データ改ざんについて公表しました。

公表が遅れた原因

安全性

本来なら公表しない程度の問題

東レは、本件はそもそも規格からの乖離はわずか1%程度で品質に問題は無く、社会に広く影響を及ぼす問題では無いため、取引先との話し合いで済む問題であるという認識でいたため、

  • ネット掲示板による露見
  • 神戸製鋼や三菱マテリアル子会社のデータ改ざん

が起きたことにより、公表するに至りました[3]

つまり、上記事態が起こらなければこれからも公表する必要が無いという認識でいました。

調査時間

調査時間に時間がかかった

検査データ4万件の調査に時間がかかったため(納入先への報告・説明は2017年9月から開始)[5]

今後の対策

信頼回復に務める

日覺社長(東レ)は「経営の最優先課題として、不正をしない、させないことを目指してきたにもかかわらず、このような事態になったことは誠に遺憾だ。今後は、グループ全体の徹底的な調査を進めるとともに信頼回復に努め、強い倫理観を持った風土を作り上げていきたい」述べ、コンプライアンスの強化や信頼の回復に全力で取り組む姿勢を示しました[2][3]

有識者委員会を設置

東レは、外部弁護士2人、社外監査役1人の計3人から成る有識者委員会を設置し、本格調査に当たると発表しました[4]

沿革

2017年11月28日公表

東レ子会社が自動車部品等で8年間に渡って149件の品質データを改ざん

東レ子会社の東レハイブリッドコードが、2008年4月から16年7月に渡って自動車タイヤ、ホース、ベルト等の部品149件、約400トンの品質検査のデータ改ざんを行っていたと発表しました。
また、東レハイブリッドコードは事態を2016年7月調査時点で把握していましたが、11月初めにインターネット掲示板による書き込みで問題が露見し、正式に公表するに至りました[7]

プレスリリース

No Title

No Description

2017年11月29日国交相指示

石井啓一国土交通相は東レ子会社のデータ改ざんを受けて、会社側に安全性確認と再発防止を求め、自動車メーカーにも調査指示へ

石井啓一国土交通相は、東レハイブリッドコードによる品質データを改ざん事件を受けて、会社側に

  • 製品の安全性の確認
  • 再発防止の徹底

を求める考えを示し[8]、自動車メーカーなどに使用状況や安全性への影響について調査するよう指示する考えを明らかにしました[9]


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