2016年4月3日

パナマ文書とは何か? -タックス・ヘイブンの実体からピューリッツァー賞受賞まで


    3行まとめ
  • パナマの法律事務所から、世界中の政治家やその関係者、著名人、資産家のタックス・ヘイブン利用実態が明らかに
  • タックス・ヘイブンは脱税や資金洗浄など不正の温床
  • 不正を「パナマ文書」として公開したジャーナリスト連合にはピューリッツァー賞が送られた

概要

分野 金融リーク
関係者 南ドイツ新聞, ICIJ, モサック・フォンセカ
公開日 2016年4月3日(現地時間)
関係国 パナマ, 世界中
目次 [表示 / 非表示]

2016年4月、タックス・ヘイブンを利用して適切な納税を行っていなかったと疑われる政治家やその関係者、さらには著名人、資産家の名前が「パナマ文書」として世界中に公開されました。これは、パナマの法律事務所の内部データが匿名の人物からリークされたことがきっかけでした。本件を調査分析し、公開した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)には、報道分野においてアメリカで最も権威のあるピューリッツァー賞が贈られました。
本記事では、タックス・ヘイブンの特徴からパナマ文書の公開、そしてその後の影響までをまとめました。

用語解説

パナマ文書

パナマの法律事務所モサック・フォンセカが関与していた世界中の政治家、富裕層、著名人のオフショア事業に関する膨大なデータ。この度、匿名の告発者によりリークされ、世界に公開されました。

モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)

パナマ在住のドイツ人弁護士ユルゲン・モサックの法律事務所とパナマ人弁護士・政治家・大統領顧問・作家のラモン・フォンセカの事務所が合併して設立されたパナマの法律事務所。
英国領ヴァージョン諸島、パナマなど世界30カ国以上に約50のオフィスを持ち、オフショアの法律事務所としては世界第4位の規模を誇ります[1]

バスティアン・オーバーマイヤー(Bastian Obermayer)

南ドイツ新聞社の記者。ジョン・ドゥと名乗る人物からモサック・フォンセカのオフショア事業に関する膨大な内部データを提供されました。

ジョン・ドゥ

ジョン・ドゥは匿名者の意味。バスティアン・オーバーマイヤーに金銭を要求することなく、法律事務所モサック・フォンセカのオフショア事業に関する内部情報をリークしました。

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)

ジャーナリスト、コンピュータの専門家、公文書分析家、弁護士などからなる国際的な調査報道機関[2]。バスティアン・オーバーマイヤーからの要請で、モサック・フォンセカの内部データを多くのジャーナリストの協力のもと、分析にあたりました。これほど膨大で広範囲に影響のあるデータを外部に一切露見することなく公開にこぎ着けた事自体お見事です。

経済協力開発機構(OECD)

国際貿易の二重課税の排除など、経済活動における税制の問題に取り組んでいる国際機関。各国の税制の動向には常に注意を払っており、タックス・ヘイブンを問題視しています。

タックス・ヘイブン

企業収益に対して、無税もしくは低減率の優遇措置を設けている国または地域。そのため、租税回避や資金洗浄のためにペーパーカンパニーが多く作られます。
タックス・ヘイブンと聞くと何となく南の島をイメージしがちですが、企業誘致の為に税優遇措置を設けていれば広い意味でタックス・ヘイブンと言えるので、世界中にあることになります。詳しくは下で。

オフショア

オフショア(Offshore)とは直訳すると「海岸線の外側」、つまり海外(特に人件費の安い新興国や発展途上国、税率の低いタックス・ヘイブン)の企業や子会社に自社の業務を委託・移管することを言います。日本の企業がコールセンターを人件費の安い中国に置くこともオフショアとなります。
問題は、タックス・ヘイブンに所有者不明のペーパーカンパニーが多数存在し、それが様々な不正行為に関わっていることにあります。

はじめに

タックス・ヘイブンの役割には功罪あれど、その税負担の不平等さ、不透明さに対して経済協力開発機構(OECD)は各国間の協力を元に是正を図っていました。そして政治家や富裕層、反社会勢力の脱税行為や資金洗浄に対しては国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が調査を行っており、少しずつタックス・ヘイブンの闇が垣間見え始めていました。
そんな折、オフショア企業設立の分野において世界第4位の規模を誇るパナマのモサック・フォンセカ法律事務所の20年分の内部データが匿名者によってリークされました。その中には、世界各国の首相クラスの政治家、その関係者の名前がありました。

プロローグ

タックス・ヘイブンについて

タックス・ヘイブンの特徴

タックス・ヘイブンには単一の定義は無いため、一般的に次のような特徴があります[3]

  • 法人の設立、運営、清算が容易
  • 租税及び税外負担が軽い
  • 為替管理がない
  • 企業秘密が確保できる
  • 政治経済が安定している
  • 情報収集が容易

国家間の税制問題に取り組んでいる経済協力開発機構(OECD)は、この中で特にタックス・ヘイブンの「企業秘密が確保できる真の所有者を隠す)」点を特に問題視しています。

タックス・ヘイブンの区分

タックス・ヘイブンは以下のように税区分できます[3]
区分説明代表的な国・地域
タックス・パラダイス所得に対する税(所得税、法人税等)がない国・地域バハマ、バーミューダ、ケイマン諸島等
タックス・シェルター国外源泉所得に対する税が非課税か、極めて低い税率の国・地域香港、リベリア、パナマ等
タックス・リゾート特定の会社や事業活動に限って、税制上の恩典がある国・地域ルクセンブルグ、オランダ、スイス等

タックス・ヘイブンのリスト

タックス・ヘイブンの定義に国際的なルールは無いため、様々な文献等からタックス・ヘイブンと見なされた国や都市を抜き出したものです[3]
OECDは、問題のある国・地域のタックス・ヘイブンをブラックリストとして国際社会に発表することで圧力をかけ、情報交換や透明性、税制の改善を要求しています。
地域国名・都市名OECD
(2000)
金融安定化 フォーラム
(2000)
米国会計 検査院
(2008)
OECD
(2009)
アジアブルネイ
アジア香港(中国)
アジアマカオ(中国)
アジアラブアン(マレーシア)×
アジアフィリピン×
アジアシンガポール
中東バハレーン
中東ヨルダン
中東レバノン×
カリブ諸国アンギラ(イギリス)×
カリブ諸国アンティグア・バーブーダ×
カリブ諸国アルバ(オランダ)×
カリブ諸国バハマ×
カリブ諸国バルバドス
カリブ諸国ヴァージン諸島(イギリス)×
カリブ諸国ケイマン諸島(イギリス)×
カリブ諸国ドミニカ共和国
カリブ諸国グレナダ
カリブ諸国モントセラト(イギリス)
カリブ諸国アンティル(オランダ)×
カリブ諸国セントクリストファー・ネイヴィース×
カリブ諸国セントルシア×
カリブ諸国セントビンセント及びグレナディーン諸島×
カリブ諸国タークス及びカイコス諸島(イギリス)×
カリブ諸国ヴァージン諸島(アメリカ)
中南米ベリーズ×
中南米チリ
中南米コスタリカ××
中南米グアテマラ
中南米パナマ×
中南米ウルグアイ×
欧州アンドラ×
欧州オーストリア
欧州ベルギー
欧州チャネル諸島(ガーンジー、サーク、オル ダニー、ジャージー)(イギリス)
欧州キプロス×
欧州ジブラルタル(イギリス)
欧州マン島(イギリス)
欧州ダブリン(アイルランド)
欧州ラトビア
欧州リヒテンシュタイン××
欧州ルクセンブルグ
欧州マルタ
欧州モナコ×
欧州サンマリノ
欧州スイス
北大西洋バーミューダ諸島(イギリス)
アフリカリベリア×
インド洋モルディブ
インド洋モーリシャス×
インド洋セーシェル×
オセアニアクック諸島(ニュージーランド)×
オセアニアマーシャル諸島××
オセアニアナウル××
オセアニアニウエ(ニュージーランド)×
オセアニアサモア×
オセアニアトンガ
オセアニアバヌアツ××
OECD(2000) ◯:タックス・ヘイブン、△:2005 年までに有害税制の除去を約束した国・地域(2000.6)、×:非協力的タックス・ヘイブン(2002.4.18)
金融安定化 フォーラム(2000) ◯:比較的良好なシステムをもつ地域、△:世界標準より劣る地域、×:問題の多い地域
OECD(2009) ◯:国際的な税制基準に合意したが、まだ、実施されていな国・地域、×:国際的な税制基準に非協力な国。その後、協力に合意し非協力国はなくなった、△:その他金融センター

『山口和之 タックス・ヘイブン規制の強化』より

タックス・ヘイブンを利用した海外取引例

日本国内の企業が海外にある企業に100万円を貸し付けて20万円の利子を得ると、所得として法人税を8万円(実効税率40%として)納付する必要があります。
一方、法人税の無いタックス・ヘイブンにまず出資金100万円で子会社を設立し、ここから海外企業へ同様の貸し付けを行うと、利子所得は子会社で留保されるため、日本企業は課税から免れます(もちろん子会社も課税されません)。

タックス・ヘイブンの問題

タックス・ヘイブンを利用すること自体に違法性はありませんが、所有者を隠蔽したペーパーカンパニー(事務所や人員がおらず、書類と郵便受けがあるだけで実体が無い会社)設立の容易さから不正行為が多く行われているのが現状です。

  • 高額所得者や大企業による脱税・租税回避

    「節税」と「脱税」、そしてその中間にあるグレーゾーンの「租税回避」の境界は曖昧でどこからが違法性のある扱いになるのは難しいところです。しかし、GoogleやAmazon、Apple、スターバックスのような世界に名だたる大企業が収益をタックス・ヘイブンに移すことで納税を回避することで、現地国の同事業者との間で税負担額に差が生じ、それが競争の優位性に反映されることになります[4]
    また、富裕層と貧困層の二極化した国では(既に日本もそのような傾向)、富裕層がタックス・ヘイブンを利用して脱税・租税回避行為を行うと、税収は落ち込み公的サービスやインフラ投資が不足することになり、さらに貧富の格差が大きくなる問題があります。
    タックス・ヘイブンにある富裕層の資産によって失われている税収の推計は、世界全体で年間2550億ドルにのぼり[3]、途上国でのその影響は非常に顕著です。

    ※ Amazonは日本国内で販売している電子書籍の売上の消費税を、販売元は国外にあるとして支払っていませんでした。これにより、日本国内の同事業社よりも税負担が無い分、低価格で販売することが出来ました(現在は法改正されて納付が義務付けられています)。

  • マネーロンダリング(資金洗浄)、テロ組織など反社会勢力への関与

    麻薬の密売など犯罪行為で得た現金を、タックス・ヘイブンを経由して別の国の口座に転送することで、司法による取締まりから逃れることが出来ます(秘密保持法制により、他国への情報開示が行われない・積極的ではない)。
    テロ組織は、複数のタックス・ヘイブンの銀行を経由して資金を別の国に移動することが出来ます。

  • 巨額投機マネーによる世界経済の大規模な破壊

    金融機関にかけられた規制をタックス・ヘイブンを利用することで回避し、リスクの高い金融商品の取引が活発化し(マネーゲーム)、その結果大規模な金融危機に陥る危険性があります(その救済に使われるのは何ら恩恵に預からなかった市民の税金になります)。

2001年の9.11アメリカ同時多発テロ事件以降、マネーロンダリングの取締まりが大幅に強化されました。また、2008年のリーマンショック後のG20首脳会議では、タックス・ヘイブンを規制する政策が打ち出されています。
しかし、中には、先進国でありながら自国や旧植民地をタックス・ヘイブンとしている国家もあり、規制に対して非協力的であるため、タックス・ヘイブンの実態解明は非常に困難でした。

悪質なオフショア企業の作り方

これは、今回パナマ文書でリークされたモサック・フォンセカによる手法の一例です。
費用は設立に数百ドル、3人の取締役の名義貸しに450ドル/年です。

①脱税、租税回避を望む顧客を銀行、弁護士、管財人が仲介してモサック・フォンセカにコンタクト
モサック・フォンセカが直接やり取りをするのは仲介者であり、「最終顧客(真の所有者)」とはビジネスをしない(よって、顧客の素性は知らない)としていますが、実際は多くの場合関与していることが判明しています。
②世界中にある既製のオフショア企業(ペーパーカンパニー)を商品として販売
この手の企業は、用が済んだらすぐに売却され、次の顧客に回されます。
③モサック・フォンセカが用意した名義上の取締役を据えて会社運営を代行
これで外部からは企業の所有者がわからなくなります。さらに弁護士や別のオフショア企業を間に挟んでさらに不透明性を高めることも出来ます。

名義上の取締役:金銭と引き換えに、以下の条件を付して何の権力も持たない取締役としての名義だけを提供し、企業の真の所有者を隠します。
・真の所有者にいかなる権利も要求しないことを約束(ノミニー・ディレクター宣言書
・真の所有者に代理権を与える(代理権授与通知書
・日付のない退職届を提出(真の所有者によっていつでも退任させることが出来る)

タックス・ヘイブンの功罪

多くの国で事業展開する多国籍企業にとって、タックス・ヘイブンの規制を強化し過ぎるのは、業績の低迷を招き、結果的には世界経済成長を鈍化させることに繋がると言われています。GoogleやAmazonなどの多国籍企業は納税を抑制していますが、その代わりにこれまでは得られなかったWebサービスを無料で使えたり、商品をより安く迅速に入手出来るようになっているのも事実です。しかし、納税を訴えかける政治家が租税回避に勤しんでいる姿やタックス・ヘイブンが反社会勢力の資金洗浄の場になっている現状を見ると、やはり何らかの施策は必要になるでしょう。

日本で起きた事件例

これまで日本国内で起きたタックス・ヘイブンを利用した事件例です。

1998年ダッチサンドイッチ

武富士事件

武富士の武井保雄元会長夫妻が、長男を香港に1年間住まわせた後、オランダに設立した会社に自身が保有していた武富士の株式を譲渡し、さらにこの会社の株90%を長男に贈与することで相続税と贈与税を回避した事件(「ダッチサンドイッチ」という手法)[5]
2005年、国税庁はこれを申告漏れとして延滞税含め約1600億円を課税しました。しかし、2011年この取消を求めた長男の訴えを最高裁が認め、国税庁は利息金を含め約2000億円を返還せざるを得ませんでした。

当時、住所の定義が法的に定められていなかったため、課税の対象と認めることは出来ませんでした(現在は法整備されこの手法は利用出来ません)。

2006年活動実態の証明

ハリポタ事件

「ハリー・ポッター」シリーズの翻訳者松岡佑子が、税負担の少ないスイスに転居して所得税の納税義務を免れていました。しかし、日スイス租税条約の規定にもとづいた相互協議の結果、本人の活動実態は日本にあるとして2001年から2004年の3年間分の所得税+追徴課税を合わせて約42億円の支払いが決定しました[6]
2006年課税の機会

オウブンシャ・ホールディング事件

大手出版社の旺文社(現オウブンシャ・ホールディング)がオランダに、巨額の含み益のある株式を出資して設立した100%子会社アトランティックの株主総会で、新株を同じくオランダにある旺文社の関連会社アスカファンドに著しく有利な価額で発行する決議を行い、第三者割当増資を行いました。これにより、旺文社に対する株式の含み益に対する「課税の機会を失う」ことになりました。
課税庁はこれを旺文社からアスカファンドへの「資産価値の移転」を法人税法上の寄付金として課税しました[7]
2011年粉飾決算

オリンパス事件

オリンパスがバブル崩壊時に発生した多額の損失を、タックス・ヘイブンに登記した投資ファンドなどを経由して、本業とは関係の薄い企業を不必要に高い金額で複数回にわたり買収することで隠蔽していました(「飛ばし」という手法)。これを指摘した当時社長に就任したばかりのイギリス人経営者マイケル・ウッドフォードは即座に解任されたため本件を公表するに至り、オリンパスの10年以上に渡る粉飾決算が明るみに出ました[8]
2016年5月11日裏金疑惑

東京オリンピック招致で有力者の親族に金銭振込

東京五輪招致委員会が東京オリンピック招致のために電通を介して、国際オリンピック委員会の有力者ラミーヌ・ディアクの息子が経営するシンガポールのペーパーカンパニー(既に解散済み)にコンサルタント費として賄賂の疑いのある約2億2000万円を振り込んでいました[9][10]。東京五輪招致委員会は自身は被害者であると主張しています。

パナマ文書公開までの経緯

2014年末匿名の告発

南ドイツ新聞社記者に匿名のリーク

ジョン・ドゥ(身元不明の死体、匿名者の意味)と名乗る人物から南ドイツ新聞記者バスティアン・オーバーマイヤーのメール宛に、

Interested in data?(データに興味があるか?)

というメールが届きました。
やがて送られて来たサンプルデータは、パナマの法律事務所モサック・フォンセカが、アルゼンチンの当時現職の大統領クリスティーナ・キルチネルが複数のペーパーカンパニーを経由して、国費を不正に流出させたとされる事件に関与していることを示すものでした。

最初の告発先にバスティアン・オーバーマイヤーが選ばれたのは、彼が後述するICIJでオフショア・リークに携わっていたこと、モサック・フォンセカの経営者の一人がドイツ人であったことが考えられます。

その後もデータの送信は長期に渡って断続的に続き、最終的にその容量はモサック・フォンセカが1970年代~2016年春までに携わった214,000件のオフショア企業に関する11,500,000個のドキュメント(電子メール、PDF、ワード、エクセルなど)、2.6テラバイトと過去の流出事件と比べて遥かに膨大でした。

過去の流出事件アメリカ外交公電ウィキリークス流出事件(2010年, 1.7GB)、オフショア・リークス(2013年, 260GB)、ルクセンブルク・リークス(2014年, 4GB)、スイス・リークス(2015年, 3.3GB)


データは一括で送られたのではなく、継続して送られて来たため、モサック・フォンセカの数日前のメールのやり取りまで把握することが出来ました。
ICIJに協力要請

膨大なリークデータの分析に対し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に協力要請

ジョン・ドゥから送られて来たファイルは非常に膨大かつ多国籍に渡る情報であったため、バスティアン・オーバーマイヤーは同僚のフレデリック・オーバーマイヤー(バスティアンと同じ読みの姓だがスペルが異なる)と共にアメリカに本拠地を置く国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に協力を求めました。

送られてきたデータはテキスト化が必要なスキャンファイルや、翻訳なども必要であったため、一新聞社(それも外部への露見を抑えるため、社内でもこの件を知る者は数人に限られていました)の記者にとっては、全ての内容を精査・調査するのは不可能でした。


ICIJはルクセンブルク・リークス※1スイス・リークス事件※2など、オフショア企業の不正行為を調査報道していたので、協力者としては最適でした。

※1 ルクセンブルク・リークス:大手コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパースから流出した機密文書から、ルクセンブルクが大企業に対して優遇税制を敷いていた事件(EUでは禁じられている「国家補助」に当たると指摘)[11]
※2 スイス・リークス事件:世界最大規模のイギリス金融グループHSBCホールディングスのプライベート・バンキング部門が富裕層顧客の巨額脱税を幇助していた事件

世界共闘

世界400人以上のジャーナリストがデータ分析に協力

その後、リークデータの分析には世界76カ国の107の報道機関からジャーナリスト400人以上が参加しました。
彼らは暗号化されたSNSで長い時間をかけて、極秘でやり取りを続けながらリークデータの内容をそれぞれ精査していきました。

データ分析に参加した報道機関リスト
報道機関国名リンク
Reykjavík Mediaアイスランドhttp://www.RME.is
The Irish Timesアイルランドhttp://www.irishtimes.com
Charlotte Observerアメリカhttp://www.charlotteobserver.com
Columbia Universityアメリカhttp://www.journalism.columbia.edu
ICIJアメリカhttp://www.icij.org
Mcclatchyアメリカhttp://www.mcclatchydc.com
The Miami Heraldアメリカhttp://www.miamiherald.com
The New York Timesアメリカhttp://www.nytimes.com/
The Washington Postアメリカhttps://www.washingtonpost.com/
Univisiónアメリカhttp://www.univision.com
Fusionアメリカhttp://fusion.net
El Treceアルゼンチンhttp://www.eltrecetv.com.ar
La Naciónアルゼンチンhttp://www.lanacion.com.ar
Pagina 12アルゼンチンhttp://www.pagina12.com.ar/
BBC Panoramaイギリスhttp://www.bbc.co.uk/programmes/b006t14n
Guardianイギリスhttp://www.theguardian.co.uk
Haaretz (The Marker)イスラエルhttp://www.themarker.com
L'Espressoイタリアhttp://espresso.repubblica.it
Alalam Aljadeedイラクhttp://al-aalem.com/
Indian Expressインドhttp://indianexpress.com
Tempoインドネシアhttps://www.tempo.co
Daily Monitorウガンダhttp://www.monitor.co.ug
Kyiv Postウクライナhttp://www.kyivpost.com
Búsquedaウルグアイhttp://www.busqueda.com.uy
El Comercioエクアドルhttp://www.elcomercio.com
El Universoエクアドルhttp://www.eluniverso.com
Al Nahar TVエジプトhttp://www.al-nahar.tv
El Faroエルサルバドルhttp://www.elfaro.net
ABCオーストラリアhttp://www.abc.net.au
The Australian Financial Reviewオーストラリアhttp://www.afr.com
Falterオーストリアhttps://www.falter.at
ORFオーストリアhttp://orf.at
Het Financiiele Dagbladオランダhttp://fd.nl
Trouwオランダhttp://www.trouw.nl
CBC/Radio-Canadaカナダhttp://www.cbc.radio-canada.ca/en/
Toronto Starカナダhttp://www.thestar.com
Protagonギリシャ、キプロスhttp://www.protagon.gr
Daily Nationケニアhttp://www.nation.co.ke
DataBaseARコスタリカhttp://databasear.com/
Semanario Universidadコスタリカhttp://semanariouniversidad.ucr.cr
Consejo de Redacciónコロンビアhttp://consejoderedaccion.org
Connectasコロンビア/パナマhttp://connectas.org
Rozana FMシリアhttp://rozana.fm
VOA Zimbabweジンバブエhttp://www.voazimbabwe.com
Le Matin Dimancheスイスhttp://www.lematindimanche.ch
Sonntagszeitungスイスhttp://www.sonntagszeitung.ch
SVTスウェーデンhttp://www.svt.se
El Confidencialスペインhttp://www.elconfidencial.com
La Sextaスペインhttp://www.lasexta.com
Deloスロベニアhttp://www.delo.si
OuestAfセネガルhttp://www.ouestaf.com
KRIKセルビアhttps://www.krik.rs/en/
České centrum pro investigativní žurnalistiku (CCIZ)チェコ共和国https://www.investigace.cz
Inkyfadaチュニジアhttps://inkyfada.com
Ciperチリhttp://ciperchile.cl
DRデンマークhttp://www.dr.dk
Politikenデンマークhttp://politiken.dk
NDRドイツhttp://www.ndr.de
Süddeutsche Zeitungドイツhttp://www.sueddeutsche.de
WDRドイツhttp://www1.wdr.de/index.html
L'Alternativeトーゴ
Trinidad Expressトリニダード・トバゴhttp://www.trinidadexpress.com
Premium Timesナイジェリアhttp://www.premiumtimesng.com
The Namibianナミビアhttp://www.namibian.com.na
Confidencialニカラグアhttp://confidencial.com.ni/
L'Evenementニジェールhttp://levenementniger.org/
Radio NZニュージーランドhttp://www.radionz.co.nz/
TVNZニュージーランドhttps://www.tvnz.co.nz/
Aftenpostenノルウェーhttp://www.aftenposten.no
Center for Investigative Reporting in Pakistanパキスタンhttp://cirp.pk
La Prensaパナマhttp://www.prensa.com
ABC Colorパラグアイhttp://www.abc.com.py
Direkt36ハンガリーhttp://www.direkt36.hu
YLEフィンランドhttp://yle.fi/
Centro de Periodismo Investigativoプエルトリコhttp://periodismoinvestigativo.com
O Estado de S. Pauloブラジルhttp://www.estadao.com.br
Rede TVブラジルhttp://www.redetv.uol.com.br
UOLブラジルhttp://www.uol.com.br
Le Mondeフランスhttp://www.lemonde.fr
Premières Lignesフランスhttp://www.pltv.fr/en/
24Chasaブルガリアhttps://www.24chasa.bg
L'Economiste du Fasoブルキナファソhttp://www.leconomistedufaso.bf
Armando.infoベネズエラhttp://www.armando.info/sitio/
Efecto Cocuyoベネズエラhttp://efectococuyo.com
El Pitazoベネズエラhttp://www.elpitazo.com
Poderopedia Venezuelaベネズエラhttp://www.poderopedia.org/
Runrun.esベネズエラhttp://runrun.es
Convocaペルーhttp://www.convoca.pe
IDL Reporterosペルーhttps://idl-reporteros.pe
Ojo Públicoペルーhttp://ojo-publico.com
De Tijdベルギーhttp://www.tijd.be
Knackベルギーhttp://www.knack.be/nieuws/
Le Soirベルギーhttp://www.lesoir.be
MO*ベルギーhttp://www.mo.be/
Gazeta Wyborczaポーランドhttp://wyborcza.pl/0,0.html?disableRedirects=true
Ink Centre for Investigative Journalismボツワナhttp://www.mmegi.bw
Expressoポルトガルhttp://expresso.sapo.pt
TVI24 (Portugal)ポルトガルhttp://www.tvi24.iol.pt
Dépêches du Maliマリhttp://www.depechesdumali.com
RMJIマリ
The Malta Independentマルタhttp://www.independent.com.mt/
Times of Maltaマルタhttp://www.timesofmalta.com/
Malaysiakiniマレーシアhttp://www.malaysiakini.com
Aristeguiメキシコhttp://aristeguinoticias.com
Procesoメキシコhttp://www.proceso.com.mx
lexpress.muモーリシャスhttp://www.lexpress.mu/
Verdadeモザンビークhttp://www.verdade.co.mz
Le Deskモロッコhttps://ledesk.ma/
MongolTVモンゴルhttps://www.mongoltv.mn/
ARIJヨルダンhttp://en.arij.net/
Radio AmmanNETヨルダンhttp://ar.ammannet.net
15min.ltリトアニアhttp://www.15min.lt
Riseルーマニアhttp://www.riseproject.ro
Novaya Gazetaロシアhttp://www.novayagazeta.ru
Vedemostiロシアhttp://www.vedomosti.ru
Korea Center for Investigative Journalism/Newstapa韓国http://welcome.newstapa.org
CommonWealth台湾http://english.cw.com.tw/front.do?action=index
OCCRP東ヨーロッパhttps://www.occrp.org/en
amaBhungane Centre for Investigative Journalism南アフリカhttp://amabhungane.co.za
ANCIR南アフリカhttps://investigativecenters.org/#
Kyodo News日本http://english.kyodonews.jp
The Asahi Shimbun日本http://ajw.asahi.com
日本からは、共同通信社と朝日新聞社が参加協力しています。
2015年12月タックス・ヘイブン離脱?

パナマ大統領が自動的情報交換(AEOI)の実現を約束

パナマ大統領ファン・カルロス・バレーラは、OECDの勧告に従い、税の透明性について国際協力を強め、自動的情報交換(AEOI)の2018年開始実現に向けて尽力することを発表しました[12]
これはパナマがタックス・ヘイブンから手を引くに等しい発表でしたが、後にモサック・フォンセカが顧客に送った手紙の内容から、それが何ら法改正も伴わない見せかけであることがわかりました。モサック・フォンセカの経営者の一人は大統領顧問なので、自らが不利になるような施策をしないのは当然と言えば当然です。

自動的情報交換(AEOI):二国の税務当局間で互いに情報提供する仕組み

2016年4月3日公開予告拡散

公表直前にスノーデンとウィキリークスがそれぞれツイート

正式な公表時間直前にエドワード・スノーデン※1ウィキリークス※2が、過去最大のリークとなるとしてツイートしました。


※1 エドワード・スノーデン:アメリカ国家安全保障局 (NSA)の元局員で、NSAによる個人情報収集の手口を告発した人物[13]
※2 ウィキリークス:匿名により政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイト[14]

2016年4月3日パナマ文書公表

ICIJがパナマ文書について公表

ICIJはモサック・フォンセカの内部情報の分析結果として、46カ国の現職・元職の大統領、首相の名前が記された149件の文書とともにその内容を「パナマ文書」として公表しました。

2016年5月10日追加公開

ICIJがパナマ文書のデータベースを公開

ICIJはさらに、モサック・フォンセカを利用した法人214,000件の法人名や関連する個人名をデータベースとして公開しました。

パナマ文書は、ウィキリークスのように生データをそのまま公開するのではなく(中には全く関係の無い個人情報なども含まれるため)、主たる目的を公的な人物の違法行為の暴露として不必要な情報は除かれています[2]

パナマ文書の内容

匿名の告発者ジョン・ドゥによってリークされたモサック・フォンセカの内部データは、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の手によって分析され、ICIJのオフショア・リークデータベースと共にTHE PANAMA PAPERS(パナマ文書)として公開されました。また、これらのデータは全てWebサイトからダウンロードすることが出来ます。

オフショア・リークデータベース:タックス・ヘイブンに設立されているオフショア企業と関連する個人・法人の関係性を検索出来るデータベースサイト

パナマ文書記載の国家リーダー、政治家、その関係者リスト

国名名前(肩書/続柄)
国家リーダー
アルゼンチンマウリシオ・マクリ大統領
グルジアビジナ・イヴァニシヴィリ元首相
アイスランド、ルクセンブルク、ヴァージン諸島(英領)シグムンドゥル・ダヴィード・グンラウグソン首相
イラクイヤード・アッラーウィー元首相
ヨルダンアリ・アブ・ラーギブ元首相
カタールハマド・ビン・ジャーシム・ビン・ジャブル・アール=サーニー元首相
カタールハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニー元首長
サウジアラビアサルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王
スーダンアフメド・アル・ミルガニ元大統領
アラブ首長国連邦ハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領
ウクライナパーヴェル・ラザレンコ元首相
ウクライナペトロ・ポロシェンコ大統領
モンゴルスフバータル・バトボルド元首相
オーストラリアマルコム・ターンブル首相
国家リーダー関係者
アゼルバイジャンイルハム・アリエフ首相の家族
中国習近平総書記の義兄
中国李鵬元首相の娘
ロシア、フィンランド、スイスウラジーミル・プーチン大統領の幼馴染
ロシア、スイスウラジーミル・プーチン大統領の親友
シリアバッシャール・アル=アサド大統領のいとこ
イギリスデーヴィッド・キャメロン元首相の父
エジプトホスニー・ムバーラク元大統領の息子
モロッコムハンマド6世国王の個人秘書
パキスタン、イギリスナワーズ・シャリーフ首相の子供
ガーナジョン・アジェクム・クフォー元大統領の息子
マレーシアナジブ・ラザク首相の息子
アルゼンチンネストル・キルチネル、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル元大統領の補佐官
メキシコエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領の財政的支援者
スペインフアン・カルロス1世元国王の姉
コートジボワールローラン・バグボ元大統領の補佐官
南アフリカジェイコブ・ズマ大統領の甥
ギニアランサナ・コンテ元大統領の妻
政治家
パレスチナムハンマド・ムスタファ副首相の腹心
エクアドルペドロ・デルガド中央銀行元総裁
ギリシャアントニス・サマラス元首相の顧問
コンゴジェイネット・カビラDRC議会メンバー
カザフスタンヌラルリ・アリエフ元アスタナ副市長
パナマリカルド・フランコリーニ元国営銀行会長
ペルーセザールアルメイダ国家情報評議会長
アルジェリアAbdeslam Bouchouareb産業鉱業大臣
アンゴラホセ・マリア・ボルテホ・デ・バスコンセロス石油大臣
アルゼンチンネストール・グリンデッティアルゼンチン市長、元ブエノスアイレス自治区財務相
カンボジアアンボンヴァタナ法務大臣
フランスジェロームカフザック元経済財務大臣、元フランス国民議会副議長
アイスランドビャルニ・ベネディクトソン財務大臣
アイスランドオロフ・ノーダル内務大臣
マルタコンラッドミッツィエネルギー・健康大臣
ブラジルジョアン・ライラ元議会議員
エクアドルガロチリボガ司法長官
ハンガリーズソルト・ホーバス元国会議員
ケニア、インド、イギリスカルパナ・ラワル副大統領、最高裁判所長
ポーランドパウエルピスコルスキ元ワルシャワ市長、民主党委員長
サウジアラビアモハマド・ビン・ナイフ・ビン・アブドゥラジズ・アル・サウド皇太子
イギリスパメラ・シャープルズバローネス、英国議会生涯会員
イギリスマイケル・メイツ英国議会会員
ベネズエラ、ボリビア共和国ヘススヴィラヌエバ石油会社役員
チリアルフレド・ロドリゲスオバリエ元生産・商業連合会長
ボツワナイアン・カービー大統領控訴院長
コンゴブルーノ・ジャン - リチャード・イトウア科学技術革新大臣
ナイジェリアジェームズ・イボリ元州知事
ルワンダエマニュエル・ンダヒロ准将
ザンビアアッタンシャンソンガ元米国大使
ベネズエラ、ボリビア共和国ヴィクトルクルス・ウェーファー元軍隊司令官
インドAnurag Kejriwal Lok Satta Partyデリー支部元会長
政治家関係者
中国賈慶林元中国共産党ナンバー4の孫
ブラジル、ポルトガルカルロス・エドゥアルド・クーニャ・ダ・ヴェイラ議長会議所長に賄賂
ガーナコフィー・アナン元国連事務総長の息子
イタリアマーセロ・デルアットリ元上院議員
ホンジェラスハイメ・ローゼンタール副社長の息子
コロンビアグスタボ・ペトロボゴタ市長の義兄弟
セネガルカリム・ウェイド元大臣
スペイン、ベルギーミゲル・アリアス・カニェーテ元農業・食糧環境大臣の妻
中国、フランス薄熙来元中国共産党重慶市委員会書記の妻のビジネスパートナー
エクアドルロミー・バレイヨスパイ機関の元顧問
肩書はパナマ文書掲載時のものです。

モサック・フォンセカのリークデータを解析した結果、以下のようなタックス・ヘイブンにおけるオフショア企業の実体がわかりました。

モサック・フォンセカで設立されたオフショア企業(1977年~)

パナマの法律事務所モサック・フォンセカから漏洩したファイルには、40年近くのデータが含まれており、パナマから香港に至る21のオフショアの管轄区域にある210,000社以上の企業に関する情報が含まれています。

仲介業者が運営する国トップ10

モサック・フォンセカは、14,000以上の銀行、法律事務所、会社設立者およびその他の仲介業者と協力して、顧客のために企業、財団および信託を設立しました。

開業・閉業したオフショア企業(1977年~)

モサック・フォンセカの顧客は、2009年以来急速に企業を非活性化しているという記録があります。オフショア企業の設立件数は過去4年間で減少しています。

無記名発行の株について

無記名株式の保有する会社は、所有者の名前を登録する必要がないことがよくあります。
所有権は誰でも株券を保有し、深いレベルの秘密を提供することによって決定されます。 英領バージン諸島が2005年に無記名株式に分割されたとき、モサック・フォンセカは無記名株式をパナマに移しました。

モサック・フォンセカが利用するタックス・ヘイブン

モサック・フォンセカは、21以上の管轄区域で事業を展開しており、オフショア秘密の世界最大の卸売業者の1つと考えられています。2004年から2005年の間の重要な法律の変更により、オフショア市場に大きな変動が生じました。

顧客のためにオフショア企業を仲介した銀行トップ10

ICIJの分析によれば、500以上の銀行、その子会社、支店がモザイク・フォンセカに約15,600社のシェル企業を登録しています。 HSBCとその関連会社は合計で2,300を超えています。

パナマ文書で人気のタックス・ヘイブントップ10

モサック・フォンセカのファイルに掲載されている企業のうち、2つのうち1つ(113,000以上)が英領ヴァージン諸島に組み込まれました。2番目のお気に入りの管轄はパナマで、同社は本社を置いています。

オフショア企業設立でもっとも活発な仲介国

モサック・フォンセカは世界中の100以上の国の仲介業者と協力していました。 オフショア企業設立者数でもっとも活発な顧客は、香港、スイス、英国でした。

モサック・フォンセカのオフショア企業の盛衰

記録によると、オフショア企業は通常、短期間だけ活動的であることが示されています。モサック・フォンセカによって管理されている活発な企業の数は、2009年にピークを迎え、82,000近くに達し、その後減少しています。

パナマ文書公開後

データ破壊

オーバーマイヤーは告発者を守るためPCを破壊

オーバーマイヤーはジョン・ドゥの身元を守るために、やり取りに使用していた電話やラップトップPCのハードドライブを物理的に破壊しました[15]
2016年4月6日(日本時間)裏側暴露?

ウィキリークスがアメリカの関与を示唆

ウィキリークスは、今回のモサック・フォンセカの情報流出について、アメリカ人投資家ジョージ・ソロスが資金提供した組織犯罪と汚職報道プロジェクト(OCCRP)と、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)が関与しており、それはロシアのプーチン大統領を狙ったものだとツイートしました[16]

2016年6月15日(現地時間)内部告発者?逮捕

モサック・フォンセカの職員を機密情報を盗んだ疑いで逮捕

スイス当局は、モサック・フォンセカのジュネーブ事業所のIT技術者を、「機密情報を盗んだ」疑いで逮捕しましたが、オーバーマイヤーはこの人物がジョン・ドゥ本人ではないと否定しました[17]
また、合わせて今回のような内部告発者は法律によって保護されるべきだと主張しました。
2017年2月13日(現地時間)経営者逮捕

モサック・フォンセカ経営者2人を逮捕

パナマ検察は、モサック・フォンセカの経営者ユルゲン・モサックとラモン・フォンセカをブラジル国営石油公社ペトロブラスの汚職事件におけるマネーロンダリング(資金洗浄)幇助の疑いで逮捕しました[18][19]。モサック・フォンセカ側は証拠不十分として容疑を否認しています。
2017年4月2日動画公開

ICIJがパナマ文書の影響をYouTubeで公開

2017年4月10日ピュリッツァー賞受賞

パナマ文書を報じたICIJがピュリッツァー賞を受賞

コロンビア大学ジャーナリズム大学院は、パナマ文書を報じたICIJに2017年のピュリッツァー賞報道部門解説報道を贈りました[20][21]

日本での影響

日本人の利用者と違法性の有無

パナマ文書には、日本企業・個人が377件(重複を除く)、関連する24件のオフショア企業(海外の中継企業を経由するので実態はこれよりも多い)が記載されていましたが、政治家やその関係者は見つかりませんでした。
また、記載されている内容についても今現在(2017年4月1日)、違法性は確認されていません。

(2017年6月14日追記)
その後、国財当局の調べによって日本個人・法人合わせて10億円以上の申告漏れが確認されました[22]

(2017年8月24日追記)
さらに、6月までの国財当局の調べによって日本個人・法人合わせて31億円以上の申告漏れが確認されました[23]
また、自主的な修正申告を含めると、パナマ文書を発端とする日本での申告漏れは40億円弱と見られます。


パナマ文書に記載があった主な日本企業・個人[24]

企業名 業種
伊藤忠商事 商社
丸紅 商社
ノースイ 冷凍食品卸売
日精電気 コンデンサー製造
エム・エイチ・グループ 美容室
やずや 健康食品
バンダイナムコHD ゲーム
ファーストリテイリング アパレル
トーセ ゲーム
日本製紙 製紙
ドワンゴ IT
ソフトバンク 通信
個人名 肩書
三木谷浩史 楽天社長
飯田亮 セコム創業者
上島豪太 UCCグループCE

日本でパナマ文書の影響が無かった理由

  • 日本の税務局は、日本で起きた事件例にあるように、法整備の抜け穴があれば発覚次第改正して租税回避・脱税に厳しく対応しているため。
  • 日本企業は、日本国外での事業展開を行う際は、現地法人を設立して法人税を収めるのが常であったため。
  • Google、Amazonのようにグローバル展開する事業が日本にはほとんど無かったため[25]
  • 日本の政治家は政治団体を経由することで、非課税で引き継ぐことが出来るため(資産相続に関してタックス・ヘイブンを利用する必要が無い)[26]

パナマ文書では、日本人の脱税と呼べるような違法性のある取引は見つかりませんでした。しかし、タックス・ヘイブンの特定外国子会社の留保所得の申告漏れが481億円、個人の海外資産に関連した相続税の申告漏れが308億円という推計(2007年)が出ていますので[3]、タックス・ヘイブンの問題は解決には至っていません。

世界各国での影響

2016年4月3日シリア

シリア-アサド政権のタックス・ヘイブンを介した軍用燃料購入が発覚

欧米から経済制裁を受けているシリアのアサド政権が、タックス・ヘイブンを介して軍用機の燃料を購入していたことが発覚しました。
モサック・フォンセカは間接的に市民への空爆を行うアサド政権を補助していたことになります。
2016年4月3日イギリス

イギリスのキャメロン首相がオフショアのファンドを所有していたことが発覚

イギリスのキャメロン首相は、亡父がタックス・ヘイブンに設立したファンドから利益を得ていたこと、ファンドを相続していたことが発覚し、野党から辞任を求められました。その後、6月23日に行われたEU残留・離脱を問う国民投票の結果、求心力の弱まったキャメロン首相率いる残留派を僅差で離脱派が上回ったことで、政権交代・退任することになりました。
2016年4月5日アイスランド

アイスランド首相辞任

アイスランドのグンロイグソン首相は、妻がタックス・ヘイブンに所有するペーパーカンパニーを通じて、アイスランドの大手銀行3行に計5億クローナ(410万ドル)投資を行っていたことが発覚し、辞任しました[27]
首相はパナマ文書発表3週間前に、オフショア企業とは関わりが無く、資産はすべて公開していると発言したばかりでした。
2016年4月5日中国

中国では報道規制・検索制限

パナマ文書には習近平国家主席の親族や中国共産党指導部のメンバーの名前がありましたが、パナマ文書はでっち上げと非難した上で報道規制が敷かれ、金盾によってネット検索にも制限(発表から数時間後)がかけられました。
中国では、蔓延した汚職撲滅を掲げて摘発に力を注いでいましたが、共産党本部にブーメランとして跳ね返って来ました。
2016年4月6日オーストリア

オーストリア州立銀行のCEO辞任

オーストリアのヒポ・フォアアルルベルク銀行が資金隠しのために、英領バージン諸島のペーパーカンパニーと取引をしていたことが発覚し、グラハマー最高経営責任者(CEO)が辞任しました[28]
2016年4月7日オランダ

オランダ銀行の監査役員辞任

オランダのABNアムロ銀行は、顧客の租税回避を積極的に幇助しているとして報じられ、監査役会メンバーのベルト・メールスタットが辞任しました[29][30]
2016年4月7日アルゼンチン

検察当局がアルゼンチン大統領を捜査

アルゼンチンの検察当局は、マウリシオ・マクリ大統領が過去タックス・ヘイブンのペーパーカンパニーの取締役をしていたこと、株式を父親のオフショア企業に譲渡していたことから、捜査を開始しました[31]
2016年4月7日ウクライナ

ウクライナ大統領が不正は無いと主張

ウクライナでのペトロ・ポロシェンコ大統領が、自身の経営する菓子会社をヴァージン諸島(イギリス領)に移すためにオフショア企業を設立していたことを認めましたが、不正は無いと主張しました。その後、ダニリュク新財務相が複数のオフショア企業の役員を勤めていた事実も発覚し、国際通貨基金IMF支援を必要とする緊迫した経済状況である中で、旧態依然の汚職体質が明るみに出ました[32][33]
2016年5月13日ロシア

ロシアの経済誌RBCの編集幹部らが辞任

ロシアのプーチン大統領の非常に親しい友人キリル・シャマロフがオフショア企業を介した資金取引を行っている疑惑を大々的に報じてきた大手メディアグループRBCの経済誌編集幹部らが辞任し(事実上の解任)、これに抗議して同社の編集幹部、記者らも相次いで辞表を提出しました[34]
また、パナマ文書の分析に協力したロシア人記者の2人は、「アメリカの宣伝工作をするスパイ」として顔写真がネットに流されました。

ロシアでは、政権を批判する記事を書いた記者が度々殺害されるなどの被害が出ています。

EU離脱などの重要性の高い出来事は別記事として追加する予定です。

編集後記

パナマ文書はタックス・ヘイブンの全ての悪用を暴露しているわけではなく、あくまで(それが世界有数の事業社であれ)ただ1社の取り扱っていた範囲に留まります。しかし、本件の後世界各国での金融情報の相互協定、反社会勢力者リストの共有化がますます進み、今後タックス・ヘイブンを利用した脱税、資金洗浄は難しくなると思われます。
そうなると、タックス・ヘイブンを主要産業としていた各国・地域は産業転換の必要に迫られることになりますが、元々地場産業が乏しいために税制を優遇したタックス・ヘイブン産業に頼っていた以上、なかなか容易なものではありません。

編集履歴

  • 2017年6月14日:3行要約を記載
  • 2017年6月14日:パナマ文書で明らかになった日本人の申告漏れについて記載
  • 2017年8月24日:パナマ文書で明らかになった日本人の申告漏れについて追記

参考

パナマ文書

形式単行本
著者バスティアン・オーバーマイヤー, フレデリック・オーバーマイヤー
翻訳姫田多佳子
出版日2016年8月27日
出版社角川書店
価格1,944円

購入先

「ハロー、私はJohn Doe。データに興味はあるか?」 「ジョン・ドゥ」とは、英語圏で裁判のとき実名が公表されては困る人物、 あるいは身元不明の死体に用いられる仮名である。 のちに「パナマ文書」と名付けられ、世界を揺るがすことになったスクープ。 すべては、この身元不明の生ける死体からの一通のメールから始まった。パナマ文書 バスティアン・オーバーマイヤー:書籍 | KADOKAWA

パナマ文書 -「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う

形式単行本
著者渡邉哲也
出版日2016年5月20日
出版社徳間書店
価格1,080円

購入先

世界に衝撃を与えているパナマ文書。2.6テラ、1150万件という膨大なデータ量で、今後、さまざまなスキャンダルが発覚する可能性がある。アイスランド首相を辞任に追い込み、プーチン、習近平の疑惑も発覚、キャメロン首相への批判は英国のEU離脱に影響を及ぼすと目されている。企業にしても不法な租税回避や反社会勢力との関係が暴かれれば、存続の危機すら招きかねない。オフ・ショアの仕組みから今後の世界・日本に与える影響までを分析!パナマ文書 | 徳間書店

タックス・ヘイブン -逃げていく税金

形式新書
著者志賀櫻
出版日2013年3月19日
出版社岩波書店
価格821円

購入先

税制の根幹を破壊する悪質な課税逃れ.そのカラクリの中心にあるのがタックス・ヘイブンだ.マネーの亡者が群れ蠢く,富を吸い込むブラックホール.市民の目の届かない場所で,税負担の公平を損なうさまざまな悪事が行なわれている.その知られざる実態を明らかにし,生活と経済へ及ぼす害悪に警鐘を鳴らす.タックス・ヘイブン - 岩波書店

脚注


引用

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