もんじゅレポート -高速増殖炉もんじゅの事故から廃炉まで


概要

約1兆円もの建設、運転・維持費を費やしてほんの250日間しか稼働することが出来ないまま廃炉が決定した高速増殖炉もんじゅ。その意義と運営事業者の杜撰な体質から廃炉に至るまでの過程をまとめました。

分野エネルギー政策
事業主日本原子力研究開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団
廃止日2016年12月21日
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はじめに

およそ半世紀に渡って計画・開発が進められていた高速増殖炉もんじゅは、2016年12月21日に廃炉が決定し、その1年後の今、ようやく廃炉化計画が立てられ、今後30年の年月と最低3,750億円の費用をかけて段階的に進められます。その一方で日本は高速増殖炉の開発計画を停止することなく、フランスとの共同開発の成果を経て、改めて国内に商業利用出来る高速増殖炉の建設計画を打ち立てました。
エネルギー政策として原発依存度を低減する方針へ進みつつも、何故高速増殖炉建設に拘るのか。そもそも原発とは何か?もんじゅとは何か?順を追って説明していきます。

原子力発電とは?

原子力発電の基本

原子力発電とは何か?

原子力発電と火力発電の違い

原子力発電は、火力発電と同じように燃料から熱を取り出して、発生した蒸気でタービンを回して発電する方式です。
火力発電ではボイラー化石燃料化学反応により熱を取り出すのに対して、原子力発電では原子炉でウランなどの核燃料核分裂反応を起こして熱を取り出して使用します。

火力発電原子力発電
ボイラー原子炉
燃料化石燃料(石油・石炭・天然ガス)核燃料(ウラン235)
反応化学反応核分裂反応
キーワード
化学反応かがくはんのう
1つの物質が原子や電子の組替え,電子の増減により,別の物質に変化すること[1]
キーワード
核分裂反応かくぶんれつはんのう
原子核とほかの粒子(例えば原子核、中性子、陽子、光子等)との衝突によって起こる原子核反応の1つ[2]
軽水炉の原子力発電について

軽水炉とは何か?

日本で主に使用されている原子力発電は軽水炉と呼ばれる方式で、核分裂したウラン燃料(ウラン235)から熱を取り出し、冷却材として使用している軽水(=純水)を加熱して、最終的に発生した蒸気がタービンを回して発電します。

キーワード
ウランうらん
ウランとは、原子番号92の元素[3]
天然に存在するウランは原子力発電に使用出来るウラン235と使用出来ない(俗に言う「燃えない」)ウラン238があります。しかし、ウラン235は非常に僅かしな採掘出来ないため、核燃料に成型する過程で「濃縮」する必要があります。
軽水炉のしくみ(沸騰水型と加圧水型)

軽水炉には蒸気を発生するしくみの違いで以下の2種類に分けられます[4]

  • 沸騰水型炉(BWR =Boiling Water Reactor)

    原子炉内で発生した蒸気がそのままタービンに送られて発電。構造はシンプルだが、蒸気に放射性物質が含まれるため、放射線の管理が必要。

  • 加圧水型炉(PWR =Pressurized Water Reactor)

    原子炉内で加圧・加熱した1次冷却材(軽水)を蒸気発生器に通して2次冷却材(軽水)を沸騰して発生した蒸気がタービンに送られて発電。沸騰水型炉に比べてメンテナンス性が高い。

軽水炉の核分裂連鎖反応

原子炉の中では、中性子がウラン235に衝突して核分裂が起こり、熱を出すと同時に新しい中性子を放出し、これが再びウラン235に衝突するという反応が連鎖的に起こります(核分裂連鎖反応)。

キーワード
中性子ちゅうせいし
陽子とともに原子核を構成する素粒子。質量は陽子よりわずかに大で、電荷は零。記号n ニュートロン[5]
熱中性子は核に吸収されて核反応を起こしやすく[6]、高速中性子はエネルギー量が大きく核分裂を起こしにくい[7]

熱中性子がウラン235に衝突
高速中性子が原子炉内に満たされた軽水(=純水)で減速され、熱中性子としてウラン235に衝突します。

高速中性子を減速して熱中性子にすることで、ウランへの衝突が起こりやすくなります。

熱と高速中性子が放出
ウラン235が核分裂して新しい高速中性子とエネルギー(熱)が放出します。
高速中性子が減速
放出された高速中性子が軽水で減速後、熱中性子として他のウラン235に衝突することで次の核分裂が連鎖的に続きます。この状態が安定して続く状態が臨界です。
蒸気タービンを回して発電
放出された熱は最終的に水を沸騰させて発生した蒸気がタービンを回して発電します。

ウラン燃料と核燃料廃棄物

軽水炉では、核燃料として濃縮ウラン(ウラン235:3〜5%、ウラン238:95〜97%)を使用しますが、原子炉内で核分裂を起こすのはウラン235のみでウラン238は利用されず、逆に中性子がぶつかると非常に毒性の高い放射性物質であるプルトニウムとなり、核燃料廃棄物として取り出されます。

キーワード
プルトニウムぷるとにうむ
プルトニウム は、原子番号94の元素[8]
放射性元素で発がん性を持ち、半減期はプルトニウム239の場合約2万4000年で自然界にはほとんど存在しない。 原子力発電の燃料として活用出来る一方で、核兵器の原料にもなるため国際ルールで保管は厳しく管理されている。

高速増殖炉とは?

高速増殖炉の特徴

高速増殖炉は原子力発電の一種

高速増殖炉(Fast Breeder Reactor : FBR)は軽水炉と同様、核分裂反応によって取り出した熱をから蒸気タービンを回して発電する原子力発電の一種ですが、次のような違いがあります。

高速増殖炉の主な特徴
  • MOX燃料を使用

    プルトニウム239とウラン238を混合した燃料(MOX燃料)を使用

  • 減速材を使用しない

    軽水(=純水)のような減速材を使用して中性子を減速させず、高速中性子を使用(「高速」)

  • 消費する以上の燃料を生成

    プルトニウム239の核分裂反応中、新しくウラン238からプルトニウム239を生成(「増殖」)

軽水炉と高速増殖炉の違い

 軽水炉(通常の原発)高速増殖炉
燃料濃縮ウラン(ウラン
235:3~5%, ウラン238:95~97%)
MOX燃料(プルトニウム239:18%, プルトニウム240:25%, ウラン238:70%)※1
冷却剤軽水(=純水)金属ナトリウム
減速材軽水(=純水)(使用しない)
核分裂中性子を減速して衝突中性子を減衰させず高速で衝突
核分裂の効率良い悪い(軽水炉の1/400の効率)※2
発電量柏崎刈羽原子力発電所7号機:135.6万kWもんじゅ:28万kW※3
建設費柏崎刈羽原子力発電所7号機:3,620億円[9]もんじゅ:5,866億円[10]
最悪の事態炉心融解で放射性物質の大量放出炉心崩壊事故による核爆発

※1 高速増殖炉は軽水炉から排出された核燃料廃棄物を再処理して作成したMOX燃料を用います。
※2 核分裂の効率が悪いため、燃料を過密して設置する必要があります。
※3 商用炉では150万kWを導入予定でした。


このような特徴から
高速中性子とプルトニウム239で発電しながら新しい燃料を増殖することが出来る原子
高速増殖炉と呼ばれます。

高速増殖炉のしくみ

高速増殖炉では、核分裂したMOX燃料中のプルトニウム239から熱を取り出し、冷却材として使用している1次ナトリウムを加熱して、中間熱交換器で2次系ナトリウムに熱を伝え、最終的に水を沸騰してタービンを回して発電します。

高速増殖炉の核分裂連鎖反応


高速中性子がプルトニウム239に衝突
高速中性子が減速されずMOX燃料中のプルトニウム239に衝突します。

高速中性子は核分裂の効率が悪いため、プルトニウムに衝突しやすいように燃料は非常に過密状態で設置されています。

熱と高速中性子が放出
プルトニウム239が核分裂して新しい高速中性子とエネルギー(熱)が放出します。
高速中性子が高速を維持・新しいプルトニウム生成
放出された高速中性子が減速せず、他のプルトニウム239に衝突することで次の核分裂が連鎖的に続きます。
また、高速中性子が核燃料中のウラン238に衝突すると新しいプルトニウム239が生成されます。
蒸気タービンを回して発電
放出された熱は原子炉内に満たされた1次系ナトリウムから2次系ナトリウムに伝わり、最終的に水を沸騰させて発生した蒸気がタービンを回して発電します。

高速増殖炉は、プルトニウムを燃料に発電しながら消費した以上の燃料を生成できる夢の原子炉[11]、実現すればウラン燃料を効率よく活用しつつ、貯蔵管理に危険性が伴い、核兵器転用が可能なプルトニウムを削減することが出来ます。
しかし高速増殖炉の開発は非常に困難であり、世界各国で実現に向けて半世紀以上前から研究が進められて来ましたが、未だ商業的な成功を収めた国は無く、経済面・安全面から大半が計画を中止・凍結しています。

高速増殖炉と核燃料サイクル

日本のエネルギー事情

エネルギー資源の無い日本が採用した核燃料サイクル

エネルギー資源が乏しい日本は、これまで過去2度のオイルショックを経験するなどして、長期的なエネルギーの安定供給を目指して原子力の研究開発を推進してきました。
しかし、原子力発電に使用するウランも可採年数が約100年と見積もられており、今後の需要国の拡大見込みからウランの利用効率性を向上するための開発も当初から進められて来ました。
また、原子力発電ではプルトニウムを含んだ使用済核燃料廃棄物が排出されますが、これを地層処分したとしても放射能レベルが自然レベルに低減するまで約10万年かかるとされており、超長期間に渡って安全に管理する必要があります。

高速増殖炉の有用性

高速増殖炉は(実現すれば)これら原子力発電に関わる問題を

  • ウラン資源の利用効率向上

    高速増殖炉では、天然ウランに豊富に含まれるが発電に利用出来ないウラン238から核分裂反応中に新しく燃料と成るプルトニウム239を生成するため、ウラン資源の利用効率を著しく向上

  • 核燃料廃棄物対策

    軽水炉発電所から排出されるプルトニウム239を燃料として使用することで、使用済核燃料廃棄物を低減化

で解決することが(原理的には)可能です。

高速炉による廃棄物の減容・有害度の低減効果

 直接処分軽水炉
(再処理)
高速炉
(再処理)
発生体積比1約0.22約0.15
潜在的有害度天然ウラン並になるまでの期間約10万年約8千年約300年
1000年後の有害度1約0.12約0.004
コスト核燃料サイクル全体
(フロントエンド・バックエンド計)
1.00〜1.02円 / kWh1.39〜1.98円 / kWh試算なし
(高速炉用の再処理工場が必要)
処分費用0.10〜0.11円 / kWh0.04〜0.08円 / kWh
※:直接処分時の相対値
今後のエネルギー政策について』より

日本発の準国産エネルギー

高速増殖炉を中心とした「核燃料サイクル」

日本は、高速増殖炉を活用することで国内のエネルギー問題を解決することが出来ると考え、

核燃料サイクル(=原子力発電で排出された使用済核燃料をリサイクルして、再び発電に使用する一連の流れ)
の方針を決定しました。
また、このようにリサイクルして得られたエネルギーを準国産エネルギーと呼びます[12]

核燃料サイクルの仕組み

採鉱
ウラン鉱山でウラン鉱石を採掘します。
製錬
製錬工場で不純物を取り除いてウランの含有率を70~80%に高めたウラン精鉱を製錬します。(イエローケーキ)に製錬
転換
ウラン精鉱を硝酸に溶かして、濾過、触媒を通して純度99.5%以上の六フッ化ウランに転換します。
濃縮
天然ウランには軽水炉で使用されるウラン235の含有率は0.7%(残りはウラン238)なので、六フッ化ウランを遠心分離などで3~5%にまで濃縮します。

ウラン235の濃度を90%まで高めると原子爆弾の原料となります。

再転換
六フッ化ウランを化学的処理で粉末状の二酸化ウランに再転換します。
成型加工
二酸化ウランを高温で焼き固めてペレットに成型後、焼結されてジルカロイの被覆管に納められ燃料棒となり、これらを格子状に束ねて燃料集合体に組み立てます。
軽水炉で発電
ウラン燃料を軽水炉の炉心に設置して発電します。
再処理
使用済燃料を燃料貯蔵プールで冷却・貯蔵後、化学的処理でプルトニウム、ウランを回収します。
MOX燃料
再処理によって回収したプルトニウム、ウランから高速増殖炉用のMOX燃料に成型します。
高速増殖炉で発電
MOX燃料を高速増殖炉の炉心に設置して発電します。
再処理
使用済MOX燃料を燃料貯蔵プールで冷却・貯蔵後、化学的処理でプルトニウム、ウランを回収します。
地層処分
再処理によって排出された高レベル放射性廃棄物はガラス固化後、地下300メートル以深の深い地層に埋設する予定です。

高速増殖炉の危険性

最も危険な原子炉

軽水炉より非常に危険な高速増殖炉

高速増殖炉は軽水炉と違い、核分裂の効率が悪く冷却材にナトリウムを使用しているため、非常に事故が起こりやすく、事故が起きた際に被害が大きくなる構造をしています。

高速増殖炉で想定される最悪の事故

高速増殖炉では、核分裂の効率を上げるために燃料を過密状態で設置しているため、もし何らかのトラブルで炉内の燃料の温度が上昇すると燃料同士が溶けて合体し、最終的には核暴走事故が起こり得ます。

  • 炉心崩壊事故による核爆発 ※最悪のケースを想定した場合です。

    停電で燃料温度上昇
    トラブルで停電が起きると、冷却ナトリウムによる熱の循環が停止するため、燃料の温度が上昇します。
    出力が向上し、さらに温度上昇
    ナトリウムが沸騰して出力が上がり、さらに温度が上昇します。
    燃料棒が合体して出力向上
    燃料棒が溶けて隣同士が合体し、さらに出力が上がります。
    溶け出した燃料が合体
    燃料棒から燃料が溶け出し、さらに燃料棒を覆っていた被膜材も蒸発する等して炉心の下で燃料が合体します。
    核爆発
    最終的に合体した燃料が小型の原発となり、核爆発を起こします。

    軽水炉では水素爆発や水蒸気爆発で放射性物質が大量に放出されることはあっても核爆発は原理的に起こりえません。

冷却材ナトリウムの危険性

高速増殖炉で冷却材として使用しているナトリウムは化学的特性が高く、以下のような危険性があります。

  • 爆発・火災

    ナトリウムは水に触れると爆発し、空気に触れると火災を起こします。また、建材として使用しているコンクリートは多量の水を含んでいるため、ナトリウムが接触するとこれを破壊します。

  • 放射性ナトリウム

    炉内のナトリウムは徐々に中性子を浴びて軽水と比べて半減期が長く強い放射性ナトリウムが生成されます。

  • 視認性が悪い

    ナトリウムは不透明であるため、炉内で事故が起きても発見が遅れ、対応が困難となります。

  • 地震に弱い

    ナトリウムは熱しやすく冷めやすいため、配管を薄くせざるを得ず、耐震性が弱くなります。

    原子炉が急停止すると、急激に温度低下したナトリウムに接する配管の内側と外側で温度差が発生し、配管に亀裂が入る可能性があります。

つまり高速増殖炉はメリットが大きい分、危険性も高い原子炉であるため、設計や運用・点検には細心の注意が必要です。

もんじゅについて

日本が開発した高速増殖炉

高速増殖炉もんじゅとは?

もんじゅは福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)の高速増殖炉研究開発センターで開発・運用が行われている高速増殖炉です。
1985年10月に建設が始まり、1994年に初めての臨界を迎え、その後数々のトラブルによる運転休止を経て2016年12月に廃炉が決定しました。

もんじゅの詳細
所在地福井県敦賀市白木2丁目1番地
事業主体日本原子力研究開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)
建設者日立製作所、東芝、三菱重工業、富士電機
原子炉の形式ナトリウム冷却高速中性子型増殖炉
熱出力71万4千kW
電気出力28万kW
燃料MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)
キーワード
日本原子力研究開発機構にほんげんしりょくけんきゅうかいはつきこう
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(原子力機構、JAEA)は、原子力に関する研究と技術開発を行う国立研究開発法人。 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構を統合再編して、2005年10月に独立行政法人日本原子力研究開発機構として設立され、2015年4月に国立研究開発法人に改組した。2016年に一部の組織を国立研究開発法人放射線医学総合研究所に分離し、放射線医学総合研究所は量子科学技術研究開発機構となった[13]
日本で最も危険で困難な高速増殖炉の開発に携わり、最も杜撰な運営を行った団体です。 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
もんじゅは開発段階

もんじゅは高速増殖炉の「原型炉」

高速増殖炉の開発は初期実験段階から商用化されるまで以下のように進められ、もんじゅはこのうち2段階目の「原型炉」に当たります。

実験炉
物理的に高速増殖炉が実現できるか検証するための炉で発電は行いません。日本では茨城県大洗に常陽が作られており、現在も照射設備として稼働しています。

照射設備:長期利用で設備に不具合が起きないか開発・確認するための設備

原型炉
開発段階として初めて発電を行うための炉です。もんじゅはこの原型炉として作られており、経済性は考慮せず、工学的に成り立つかを確認するための設備です。
そのため、発電量も低く建設費も高額になります。
実証炉
原型炉で不要だった設備を削ぎ落として、実際に運用して経済性を担保できる炉として作られます。
日本では2025年頃の実現を予定していました
商用炉(実用炉)
実証炉によって経済性に問題が無いと判断されたら開発に入ります。
日本では2050年頃の実現を予定していました
※ 東北大震災以前の計画
キーワード
常陽じょうよう
常陽は日本で最初の高速増殖炉であり、高速増殖炉開発のために必要な技術・データおよび経験を得るための基礎研究、基盤研究を目的として建設された実験炉[14]
高速実験炉「常陽」

もんじゅで起きた事件・事故

1995年12月8日火災事故と隠蔽工作

2次冷却系配管からのナトリウム漏れ火災事故

1995年12月8日、もんじゅの試験運転前中、2次冷却系の配管に設置されていた温度計が破損し、そこから漏洩したナトリウムにより火災が発生しました。幸い放射能漏れは無かったものの、初期対応の遅れから被害が拡大し、また事故に対する外部機関への隠蔽工作とも図れる対応をとるなどしたため、結果、報道担当者が自殺する事態にまでに至りました。
その後改造工事を行うことになり、本格運用へのスケジュールは大幅に遅れ、建設予算が膨らむことになりました。

事故の原因

2次冷却系配管内の温度を測定するために設置されている温度計システムの設計ミス

事故の沿革

19:47:設計ミスで配管の温度計が破損し、ナトリウムが漏れ出し、火災が発生
20:00:事故発生13分後に(「緊急停止」で炉が損傷することを恐れて)「通常停止」措置をとるが、運転が停止が完了するまでの間もナトリウムが漏れ続ける
21:20:事故発生1時間半後にようやく「緊急停止」措置をとるが、ナトリウム抜き取り作業を直ちに行わず、その間もナトリウムが漏れ続ける(結果、事故発生後3時間にわたってナトリウムが漏れ続けました。)
22:40-24:15:ナトリウム抜き取り作業

事故後の対応

事故被害が大きく、そのまま公開すると糾弾されると恐れて事故現場を撮影したビデオを1分間に編集して公開
公開したビデオが都合よく編集されたものであることが発覚し、全てを順次公開
事故現場のより詳細な惨状を撮影していたビデオを新たに公開
一連のマスコミへの対応、県への報告の遅れ等が事故の被害を小さく見せようとする隠蔽工作であるとして報道が加熱
報道の矢面に立たされた総務部次長が自殺

2008年3月手抜き点検発覚

ナトリウム漏えい検出器未整備問題

もんじゅのナトリウム漏れ事故後、あらゆる装置・機器の点検の徹底化されたと報告していましたが、ナトリウム漏えい検出器の全てが一度も検査されていなかったことがわかりました。

事故の発覚

たまたま検出器が故障して警報が鳴り、調査の結果、過去一度も点検をしていないことが判明

事故後の対応

警報が鳴った際はマスコミ含めて通知しなければならなかったがこれを怠り、事態は施工不良として処理されましたが、実際は設計ミスと考えられています。

Pointもんじゅの前段階で開発した実験炉「常陽」の正しい設計が次段階のもんじゅに引き継がれず(常陽では温度計の設置も問題ありませんでした)、わざわざ事故が起こりやすい設計に書き換えられていました。設計は東芝です。
2010年8月26日露見した大きな設計ミス

原子炉内中継装置落下事故

燃料交換時に使用する炉内中継装置(3.3トン)の取り出しに失敗してナトリウムに満たされた炉内に落下、変形して引き抜き作業が非常に困難な事態になりました。引き抜き作業や安全点検、復旧作業まで多額の費用がかかることもわかり、ナトリウム漏れ火災事故時と同様に担当者が自殺するにまで至りました。

事故の原因

炉内中継装置を掴み上げる器具(グリッパ)に設計ミスがあることがわかりました。設計は東芝です。

事故後の対応

10月13日:引き抜き作業を試みるも失敗
11月17日:炉内中継装置の変形をカメラで確認(本来引き抜き作業をする前にすること
2011年1月28日:引き抜き作業のための追加工事や試験などの復旧作業に約9億4000万円かかることが判明
2月14日:現場担当者が自殺
6月23日~24日:引き抜き作業を開始し、翌日完了
8月8日:落下事故に関わる復旧完了を報告(最終的に撤去にかかった費用は計約17億5000万円

2012年11月~点検すらまともに行われないもんじゅ

もんじゅ保守管理不備による最終通告

定期的に実施されている保安検査で2012年9月前半に良好であると報告されていましたが、その後の調べで約1万機器について保守管理不備があったことが発覚しました。
その後、二度に渡る保安措置命令を受け、原子力規制委員会で

・日本原子力研究開発機構に代わる適切な運営者を見つけること
・それが出来なければもんじゅの計画自体を抜本的に見直すこと
と勧告を受けました[15]。もちろん代わりの運営者などいるはずもなく、結果、これがもんじゅ廃炉に向けた最終通告となりました。
事態の原因
  • 不適切な特別採用による未点検状態の継続
  • 安全上重要な配管等の不備
  • 機器の安全重要度分類が不適切
  • 保修票の運用、管理不備
キーワード
特別採用とくべつさいよう
特採(とくさい、特別採用、英:concession, waiver)とは、製造業において不合格(規格に合わない)と判定された物品を、再審のうえ使用可とすること。規格上不適合だからといって必ずしも使い物にならないとは限らないため、このような制度が存在する。規格に適合した物品には、すぐに「合格」の判定が出る。規格に合わない物品は一旦「不合格」と判定されるが、再審で採用となれば「特採」に判定が変更され、ロットの一部または全部が後工程で採用される[16]
事態の沿革

2012年9月前半:原子力安全・保安院による保安検査で報告書に良好とあったが、保全計画に問題があることが発覚
11月27日:約1万機器が点検時期の超過等の保守管理不備を報告
12月12日:一度目の保安措置命令
2013年1月31日:未点検機器の総数、重要度が高い機器についての点検終了した旨、今後の改善策を報告
3月19日:点検漏れなどを確認、保全計画の事実認定が不十分
5月29日:二度目の保安措置命令(使用前検査禁止措置)
2015年11月13日:原子力規制委員会でもんじゅ運用の資質が無いと勧告
Pointここでは日本のもんじゅの事件・事故のみをピックアップしましたが、これまで世界中の研究・開発中の高速増殖炉でナトリウム漏れなど多くの事故が起きています[17]

もんじゅの廃炉と功績

2016年12月21日もんじゅ廃炉決定

政府によってもんじゅの廃炉が正式に決定

およそ半世紀に渡って計画・開発が進められていた高速増殖炉もんじゅは、2016年12月21日政府の原子力関係閣僚会議で正式に廃炉が決定しました。

もんじゅ廃炉の理由

もんじゅは以下のような理由で廃炉が決定しました。

  • 安全基準の見直し

    福島第一原発事故後に新しく導入した世界最高水準の規制基準への対応コスト

  • 運営事業者失格

    事故、トラブル、それに対する稚拙な対応によってコスト増大

  • 原子力政策の転換

    原発依存度を低減する方針への転換により、原子力事業の縮小

  • 世界共同研究・開発の推進

    高速増殖炉の開発で他国が経済性に有利なタンク型を採用する中、日本だけが耐震性重視のループ型を採用しており、今後、世界各国との共同研究・開発が進められる中で再度検討する必要性

    タンク型:配管を削減し、コンパクトな設計で原子炉建屋が小さくできるので経済性に有利 ループ型:保守が容易で耐震性に有利、その分配管が増長となり原子炉建屋が大きくなり経済性が損なわれる[18]

  • 再稼働に5,400億円以上

    仮にもんじゅを再稼働すると仮定すると、運転開始までに8年間、その後8年間の運転で5,400億円以上かかると試算

もんじゅの廃炉計画

もんじゅの廃炉期間とかかる費用

もんじゅは今後30年間、最低3,750億円の費用を費やして廃炉作業が進められることになります(費用はさらに肥大する可能性はあります)[19]。また、廃炉作業費以外にも、もんじゅが建設されていた福井県と敦賀市には地域振興費用が支払われることになります。

もんじゅの現在までの費用と今後の費用
建設費5,886億円(1980年度~1994年度)
運転・維持費等4,703億円(1989年~2017年度)
稼働実績250日間
廃炉費用3,750億円/30年(予定)
地域振興費用(福井県、敦賀市)60億円以上/30年(予定)
仮に再稼働した際にかかる費用5,400億円以上
もんじゅの廃炉行程

もんじゅは今後以下の段階を踏んで廃炉作業が進められ、最終的には建物などを解体撤去して更地にまで戻されます[19][20]

第1段階:2018~2022年度
・炉心にある燃料計370体の取り出し
・放射性を帯びていないナトリウム約760トン抜き取り
第2段階:2023年度~
炉心にある放射能を帯びたナトリウム抜き取り(※抜き取り方法は未定。第1段階の工程を元に検討)
第3段階:未定
ナトリウム機器の解体撤去など
第4段階:~2047年度
建物などの解体撤去

もんじゅの功績

もんじゅが我々に残してくれたもの

数々のトラブル、運転休止を経て廃炉化が決定したもんじゅですが、もちろんただ無駄な時間と経費を浪費したわけではなく、一応の成果も残しています。

もんじゅ開発のこれまでの功績
  • 国産技術による高速増殖炉建設・運転で世界最高レベル(当時)の技術力を誇示
  • 日本の原子力技術の発展の礎を築く
  • 国際的に評価される様々な成果

    具体的にどの辺りが国際的に評価されているのか未確認です。

今後の高速増殖炉計画

プルトニウム・バランスの崩壊

高速増殖炉計画が停止すると大量のプルトニウム処理問題が残る

もんじゅの廃炉化が決定しましたが、今後の高速増殖炉計画を停止すると核燃料サイクル方針のもとで想定していた日本のプルトニウム・バランスは崩壊することになります。

国際社会との約束

日本は核兵器不拡散条約(NPT)の下、

・プルトニウムを厳重に管理すること(核不拡散
・プルトニウムの平和的利用(発電に限定
・(それ故)利用目的の無い余剰プルトニウムを所有しないこと
を約束しています。
だからこそ日米原子力協定で、
核燃料濃縮と再処理を含む核燃料サイクル
を核不拡散条約(NPT)に加盟する非核兵器保持国の中で唯一例外的に認められています
キーワード
核兵器不拡散条約かくへいきふかくさんじょうやく
核軍縮を目的に、アメリカ合衆国、ロシア、イギリス、フランス、中華人民共和国の5か国以外の核兵器の保有を禁止する条約[21]
核兵器不拡散条約(NPT) | 外務省

日本の増え続けるプルトニウム保管量

日本はプルトニウムを国内外合わせて約46.9トン(2016年末時点)保管しており、再処理を待つ使用済核燃料は約17,000トン(2014年時点、年間1,000トン増加)保管されています。また、現在建設中の六ヶ所再処理工場が本格稼働すると年間約4トンのプルトニウムが取り出されることになります[22]

日本のプルトニウムの保管状況
2015年末時点2016年末時点
日本国内約10.8トン約9.8トン
イギリス※1約20.9トン約20.8トン
フランス※1約16.2トン約16.2トン
合計約47.9トン約46.9トン※2

※1:日本は国内での再処理工場が本格稼働されるまで、イギリスとフランスに再処理を依頼
※2:1年間で減少しているのは関西電力高浜原発3、4号機(福井県)のプルサーマル発電によるもの[23]

我が国のプルトニウム管理状況』より

つまり日本はプルトニウムを削減する姿勢を国際社会に示す必要があります。
今後のエネルギー政策

プルトニウム削減のために高速増殖炉開発は続行し、プルサーマルで場繋ぎ

そのため日本はプルトニウム削減のために、核燃料サイクルの方針を継続し、

・高速増殖炉を各国連携して共同研究開発
プルサーマル発電の積極的な活用
を決定しました。

プルサーマル発電:現行の軽水炉でプルトニウムを含むMOX燃料を利用して発電する方式。詳細は下記。

2014年5月次世代高速増殖炉の開発

フランス高速炉実証炉ASTRIDの共同研究開発

フランスで計画されている第4世代ナトリウム冷却高速炉実証炉ASTRID建設について日本も研究開発に協力することが決定しました[24]

ASTRIDの目的

ASTRID(Advanced Sodium Technological Reactor for Industrial Demonstration)は以下の目的で開発を計画されています。

  • 第4世代炉の開発実現

    革新技術の採用による第4世代炉としての高い安全性・信頼性の実現

    ※ 現行の原子炉を第2世代、第3世代と位置づけ、より高い安全性、核拡散抵抗性、廃棄物と天然資源利用の最小化、原子炉の建設運用費用の低減を目指した次世代型原子炉[25]

  • 放射性廃棄物の減容

    プルトニウムの減容・信頼性の実現

    ※ ASTRIDは高速増殖炉、つまり炉内でプルトニウムの増殖は行わず、消費することを目的としています。

日本はASTRIDの成果を元にして、国内に独自の実用炉建設を計画しています。
ASTRIDの問題点
  • 開発費

    フランス政府はASTRIDの開発費に総額約50億ユーロ(約5700億円)かかると試算しており、日本にその半分を負担するよう求めています(この開発費はさらに増える見込みもあります)。

  • 実現性

    そもそも日仏間協力すれば確実に実現するという保証も無く、技術的に困難であることは変わりありません。また、フランスと日本では耐震性の基準も異なるため、国内の実用炉建設に活かせないのではないかという懸念があります。

ASTRIDの規模縮小

フランス政府は、ASTRIDの建設コスト増を理由に想定出力規模を60万キロワットから10万~20万キロワットに縮小することを検討中であると発表しました[26]

ASTRIDの開発スケジュール

ASTRIDは以下のスケジュールで開発・建設が計画されています[27]

2010~2012年:設計の事前検討
2013~2015年:概念設計
2016~2019年:基本設計
2019年:建設判断
2020~2025年頃:詳細設計・建設
2025年頃:ASTRID用燃料製造施設運転開始予定
2030年頃:臨界予定、ASTRID用再処理施設運転開始予定

プルサーマル計画

軽水炉でプルトニウムを燃料として消費するプルサーマル発電の利用

プルサーマル計画とは?

プルサーマル計画とは、

プルトニウムをサーマルリアクター(軽水炉)で利用する
発電計画です。
プルサーマル計画の発端

日本ではもんじゅの事故により核燃料サイクルの計画が大幅に送れる見込みから、その間にも蓄積されていくプルトニウムを消費するための一時的な措置としてプルサーマルは採用されました。しかしもんじゅの開発計画が停止したことで、さらに高速増殖炉の運用開始時期が遅くなることから、今や核燃料サイクルの一端に置き換わろうとしています。

プルサーマルの特徴

高速増殖炉と同様に一度使用した核燃料廃棄物を再処理して取り出したプルトニウムとウランから成るMOX燃料(高速増殖炉よりプルトニウム含有量は低い)を消費することが出来ます。

  • 核燃料廃棄物対策

    前述の通り、高速増殖炉同様にプルトニウムを燃料として消費

  • 従来の軽水炉が利用可能

    現在建設済みの従来の軽水炉がそのまま利用可能であるため、新規にプルサーマル専用の原子力発電所の建設不要

現在稼働中のプルサーマル発電所

現在日本国内では、関西電力の高浜発電所と四国電力の伊方発電所のみが稼働しています。

  • 関西電力高浜発電所3、4号機
  • 四国電力伊方発電所3号機

プルサーマルの欠点
  • 使用済MOX燃料の再処理施設が無い

    現在建設中の六ケ所再処理工場は使用済MOX燃料の再処理が想定されていないため新規建設が必要

    六ヶ所再処理工場だけでも現在約3兆円の建設費用がかかっている上、未だに未完成[28]

  • 使用済MOX燃料の冷却期間

    通常の核燃料廃棄物と比較して使用済MOX燃料は中性子の線源強度が10倍程度高くなるため、冷却期間が長期化

  • 再処理は最大2回まで

    再処理を行うと高次化プルトニウムが蓄積するため、最大でも2サイクルまでしか行えない(高速増殖炉の場合はこの問題は発生しにくい)

    高次化プルトニウム:プルトニウム239よりも質量数の大きい同位体(プルトニウム240、241など)の割合が高いプルトニウムで核燃料として使用出来ない[29]

  • 放射性廃棄物の増加

    再処理作業で、高レベル放射性廃棄物、低レベル放射性廃棄物が多量に排出(高速増殖炉の再処理でも同様)

  • コスト高

    再処理費用、MOX燃料製造費用が通常の軽水炉と比べてコスト高

つまりプルサーマル発電は燃料コストも高く再処理回数も限定的であるため、高速増殖炉に変わって核燃料サイクルを回すことは不可能です。
Point現在再処理もままならないままプルサーマル計画を遂行しているのは、使用済MOX燃料の冷却期間が非常に長いため、結論を先送りにすることが可能であるためと考えられます。このような結論の先送りは原子力政策で随所に見受けられます。

世界の動向

高速増殖炉開発についての世界の動向

日本以外の高速増殖炉の研究・開発の動向は以下の通りで、ロシア、中国、インドは積極的に開発を進め、フランス、アメリカは放射性廃棄物対策に計画変更、ドイツ、イギリスは完全に計画を中止しています。

 実験炉原型炉実証炉商用炉(実用炉)
発電炉として活用
ロシアBOR-60:1969年臨界BN-600:1980年臨界BN-800:2014年臨界BN-1200:2025年頃運転開始予定
中国CEFR:2010年臨界ロシアのBN-800を導入CFR600:2025年頃運転開始予定2030年頃導入予定
インドFBTR:1985年臨界PFBR:2016年臨界予定CFBR(実証炉・商用炉):2025年頃運転開始予定
放射性廃棄物対策に計画変更
フランスRapsodie:1967年臨界Phénix:1973年臨界Superphénix:1985年臨界
以後商用炉を計画中止
計画中止
放射性廃棄物対策として高速炉建設ASTRID:2030年頃臨界予定2040年頃導入予定
アメリカClementine:1946年臨界EBR-I:1951年臨界LAMPRE:1961年臨界EBR-II:1963年臨界エンリコ・フェルミ炉:1963年臨界
SEFOR:1969年臨界
CRBR:1982年着工(1983年計画中止)計画中止計画中止
放射性廃棄物対策として研究開発継続
計画を完全に中止
ドイツKNK-II:1977年臨界SNR-300:1973年着工
(1991年計画中止)
計画中止計画中止
イギリスDFR:1959年臨界PFR:1974年臨界計画中止
※ ロシア、中国は当初から高速炉の開発を進めています。
資料2 海外高速炉の情勢』より

高速増殖炉計画を中止した国の主な理由

  • 核拡散の危険性

    核兵器の原料となるプルトニウムを商用レベルで扱うことで、世界中に核拡散する危険性
    (インドはアメリカ、カナダから提供を受けた核開発技術・資材を元に、独自で核兵器開発に成功してしました。)

  • ウラン供給量が安定

    海水や他の鉱石からウランを取り出す研究が進み、ウランの供給量に対する不安が軽減

  • 建設が困難

    高速増殖炉の研究開発中も多くの事故が発生しており、炉心崩壊事故に対する完全な安全策を講じることが出来ない

  • 経済的なメリットが無い

    商用炉としての実現が見込めない中、建設費と維持費に多額の予算が必要となり、経済的なメリットが見出だせない

  • 脱原発、再生可能エネルギー推進

    太陽光発電等の再生可能エネルギーの発電効率が格段に向上し、原発需要の低減

Point世界の潮流は脱原発を目指して再生可能エネルギーを推進し、それまでの繋ぎとして高速炉(≠高速増殖炉)を活用するのでは無いかと思われます。

日本の高速増殖炉のこれまで

1983年5月:原子炉設置許可

1985年10月:建設工事開始

1994年4月:初臨界
この間205日運転

1995年12月:40%出力試験中に2次冷却系のナトリウム漏えい事故

1996年~98年:旧科学技術庁が「もんじゅ安全性総点検」実施

1998年10月:核燃料サイクル開発機構発足

2001年~10年:改造工事の安全審査、工事、使用前検査

2005年10月:日本原子力研究所と統合し日本原子力研究開発機構発足

2009年:保全プログラム導入

2010年5月:試運転再開(5月8日臨界達成)
この間45日運転

2010年8月:炉内中継装置の落下トラブル発生

2011年3月:東日本大震災

2012年9月:原子力規制委員会発足

2012年11月:機構は自ら約9千点の機器の点検漏れを原子力規制委員会に報告

2012年12月:規制委員会より1回目の保安措置命令

2013年5月:規制委員会から運転再開準備の準備停止含む2回目の保安措置命令
改善作業に取り組むも、年4回の規制委員会の保安検査で度々各種違反・指摘

2014年4月:現行のエネルギー基本計画閣議決定

2014年12月:機構より措置命令に対する報告書提出
引き続き改善作業に取り組むも、保安検査で度々各種違反・指摘

2015年11月:原子力規制委員会から文部科学大臣に対し勧告発出

2015年12月:文部科学大臣の下に「『もんじゅ』の在り方に関する検討会」を設置

2016年5月:「『もんじゅ』の在り方に関する検討会」報告書取りまとめ

2016年8月:機構より措置命令に対する報告書を改めて提出

2016年9月:原子力関係閣僚会議において「今後の高速炉開発の進め方について」決定

2016年12月21日:もんじゅの廃炉決定

2016年12月22日:核燃料サイクル事業を継続し、実証炉の開発決定

2017年11月18日:高速増殖炉もんじゅの廃炉交付金(30年間で合わせて60億円)に福井県、敦賀市に上乗せで調整

2017年11月21日:高速増殖炉もんじゅ廃炉計画が遅れ

2017年11月29日:もんじゅ原子炉容器から液体ナトリウムの抜き取りが想定されていない設計であることが明らかに

2017年11月29日:日本原子力研究開発機構が毎日新聞報道を否定し、もんじゅからのナトリウム抜き取り可能と表明

2017年12月5日:もんじゅ廃炉に向けて地元と廃炉協定

2017年12月6日:もんじゅの廃炉計画を原子力規制委員会に申請

2018年1月25日:2018年7月からもんじゅの燃料取り出し作業開始予定

2018年3月28日:原子力規制委員会がもんじゅ廃炉計画を認可

編集後記

高速増殖炉の開発は非常に困難なものであることは容易に想像が付きます。だからこそ適切な運用管理、安全性の高い設計が必要となります。ところが事業主である日本原子力研究開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)は杜撰な検査体制、事故時の隠蔽工作などを多々起こし、事故とは無関係なところで犠牲者を出すに至りました。
原子力という技術に対しては信頼性と期待を持てるとしても、その事業主に対しては一向にその気を持つことは出来ません。

参考

動かない、動かせない「もんじゅ」 -高速増殖炉は実用化できない

形式参考書籍・資料
著者小林圭二
出版日2010年12月8日
出版社七つ森書館
価格972円

購入先

12月8日は、1995年にナトリウム漏れの大事故を起こした日です。それ以来、14年間も止まっていた「もんじゅ」は、果たして安全に運転開始できるのでしょうか? ほんとうは、事業仕分けされても当たり前ですが、政治的判断で生き延びています。こんなことで安全は大丈夫でしょうか? 業界イチの専門家がわかりやすく解説します。動かない、動かせない「もんじゅ」 – 株式会社 七つ森書館

さようなら、もんじゅ君 -高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし

形式単行本
著者もんじゅ君
監修小林圭二
出版日2012年3月8日
出版社河出書房新社
価格1,296円

購入先

ツイッターで大人気の非公式ゆるキャラもんじゅ君が、高速増殖炉もんじゅおよび原発のしくみや問題点について、徹底的にやさしくていねいに教えてくれる。原発問題の最高の入門書。さようなら、もんじゅ君 :もんじゅ君,小林 圭二|河出書房新社

知っておきたい原子力発電 -図解雑学

形式単行本
著者竹田敏一
出版日2011年7月21日
出版社ナツメ社
価格1,296円

購入先

収束のめどが立たない福島原発の事故。連日、新聞やテレビで報道されていますが、専門用語だらけなので、一般の人達にとっては難解極まりありません。そこで本書は、原子の構造から放射線・放射能の違い、そして原子力発電のしくみなどを、わかりやすく解説します。知っておきたい原子力発電(物理) – 竹田敏一:著|ナツメ社|実用書、看護書、資格書、語学書、保育書等の販売

高速炉開発の方針(案)

形式参考書籍・資料
出席者世耕 経済産業大臣(議長)、松野 文部科学大臣、児玉 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事長、勝野 電気事業連合会会長、宮永 三菱重工業株式会社代表取締役社長 等
開催日2016年12月19日
場所経済産業省本館17階国際会議室

ダウンロード先

我が国は、原子力開発の黎明期から、高速中性子による核分裂反応を活用する動力炉である高速炉の国産開発を目標として、将来の実現を見据えた研究開発を脈々と進めてきた。1956 年の「原子力長計」(「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(原子力委員会決定))を端緒として、1963 年頃より本格的な設計研究が開始され、1977 年には実験炉「常陽」、1994 年に原型炉「もんじゅ」が臨界を達成した。高速炉開発の方針(案) – 経済産業省

脚注


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